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<2003年8月>

長かった梅雨が明け、短い夏が始まりました。
暗い疲労が重なっていく思いがあって、庭のみどりを眺めていたらなんとも美しい花が咲いているのに気づきました。

だいぶ以前に買い求めた鉢植えで、いつか季節が巡って忘れられたままに庭の片隅に寄せられていたのでしたが、名札も消えたものか思い出せないまま、丁寧に支柱がしてあるので、そのうち咲いてくれることを期待していました。

黄蓮華升麻ではないかとおもいますが、少し違うような気もしています。
記憶をたどれば確かに買ったもので、山野草を里で育てることの難しさを知りながら、半ば諦めていた開花が数年を経て実現し、いとしさで一杯になりました。

今年は、長雨のせいもあってか、昨年咲かなかった糊空木が真っ白な花を咲かせ僅か一・二本だった高砂ユリが、昨年の秋の終わりに種をばらまいたお陰で数十本に増えて端正で品のいい花を咲かせました。丈の高いものでは2メートルを越えています。鉄砲ユリに似た花は、蕾の時には赤紫の筋が入って綺麗です。

庭を眺める楽しみが増えて、ささやかな喜びを味わいます。
庭には、早くも秋の気配があって、数匹の赤とんぼが舞っています。残念なことに、誰もが目を見張った真っ赤なヒペリカムは、枝先の小坊主が黒くなった途端に見事な紅葉が茶色に変色し、もう葉を落とすばかりです。この季節のように、生き急いでいるように思えてなりません。 

秀可

広山流 福岡支部 [風の教室] http://www.shu-ka.net/