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<2005年04月>

もう葉桜の季節になってしまいました。花の命の短さを実感した今年の桜の風情でした。ちらほらと蕾が膨らんでいたかと思うまもなく、待ちかねたかのようにいっせいに花開いて、あっという間の満開でした。この季節が訪れると、毎朝目覚めると二階の窓を開けて、桜の変わりゆく表情を眺めて開花を楽しみにしておりましたが、きのう下枝が開花していたのに、今朝はもう満開といった具合で、多忙を極めた時期と重なったこともあって、ゆっくりとした春を実感する暇がありませんでした。

懸案だった花展が終わりました。思いのほかの好評を得ることが出来まして、時間を割いてお見えいただいた方々に深く感謝いたします。歴史を引き継いで、私たちの心の中に存在する万葉の世界をどのように表現すればいいのか、憧れで臨んだいにしえの季節を手探りで感じながら取り組んでみました。

そんな私の思いを引き受けて、スタッフの並々ならぬ努力が始まり、大げさに言えば闘いの日々があって完成した花展でした。賛同してくださった友人たちの協力を得て花材が提供され、スタッフの母の遺産である持ち山を幾度となく荒らし、芽吹いたばかりの枝を切り落として運んで、万葉人の思いが少しでも伝わればと願いながら心を寄せ合っての数週間を経験いたしました。体調をくずしながらの準備期間でしたが、力強く支えてくれた生徒さんたちの努力に感謝しながら、今、充実感と感動をもって振り返っております。

今、泥のように疲れていることであろうスタッフたちの、これから始まる連休をしっかり楽しんでほしいと願うばかりです。気づかないままに、庭には花が咲き、そして柔らかな美しい緑が広がっています。一年中で一番やさしい季節の訪れです。
秀可

広山流 福岡支部 [風の教室] http://www.shu-ka.net/