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<2006年5月>

いたやかえで

九州の山の樹木や野草などは、特別なものはないと思うのですが、それでも独特の植物などがあるようです。福岡の旧藩時代の名を残す場所も沢山ありますが、植物にも筑紫の名前のついたものがあるのを知りました。
「筑紫猩々袴」というオレンジ色の猩々袴を山の中で見つけました。普通ショウジョウハカマはピンクであると思っていましたので突然変異なのかと思っていましたが、ちゃんと本に載っておりました。

北の地方とは樹木なども違う品種がたくさんあり、東京で使っていた花材が手に入らずに困惑していましたが、需要と供給の問題を除いても、ないものねだりであることを知り、あらためて日本列島が縦に長い国であることを認識した次第です。
大きい花屋さんなどは、東京の築地市場などから航空便で北の花材を仕入れていますが、それらは当然文字どおり「高値の花?」となるわけで、通常の稽古などではなかなか使うわけにいかないものもあります。
それでも、どうしても使いたいものは仕入れていただくことにしていますが、思うに任せないのが実情です。

先日、生徒さんたちと野の花が咲いている空き地などのそばを歩く機会がありました。もう夕暮れが迫っていて、はっきりした色などは教えられませんでしたが、都会ではなかなか目にすることが少ない野の花に大喜びして稽古帰りでもあったことで鋏などを取り出し「春じおん」「豆軍配なずな」「姫小判草」「風草」「すいば」など都会の夜の明るい光の中で採取していました。みどりいっぱいの野草に感激しておりました。

そして、翌日早速電話があり、「大きな鉢にいっぱい生けました。」「ガラスのコップに風草を入れて、古民具の低い箪笥のうえに置いたらとっても素敵です」と報告してまいりました。
思いがけない実習で、こうした機会をたくさん設けなければならないと思ったところです。

庭の板屋楓が鮮やかに初夏の日差しを浴びています。
例年になく、5月の連休の「博多どんたく」が雨に降られなくて、珍しいことがあるものだとみんなが言ってましたが、早くも入梅の気配です。
まだ五月半ばなのにと、これも口の端にのぼっています。
秀可

広山流 福岡支部 [風の教室] http://www.shu-ka.net/